結論:5/3/1法は「余力を残しながら積み重ねる」筋力向上プログラム
5/3/1法は、パワーリフターJim Wendlerが考案した、長期的な筋力アップに特化したトレーニングプログラム。
最大の特徴は、毎週限界に挑むのではなく「余裕を残して積み重ねる」ことで、地道に出力を伸ばしていく設計にある。
単純な4週サイクルを淡々と繰り返す構成だが、着実に積み上がっていく仕組みが組み込まれている。
無理せずに強くなる。そのための“型”として、今も広く支持されている王道プログラムである。
基本構成:4週間で1サイクル
5/3/1法は、次のように進行する4週構成のサイクルが基本となる。(基本はTM90%で計算)
- Week1:65% / 75% / 85%(3×5)
- Week2:70% / 80% / 90%(3×3)
- Week3:75% / 85% / 95%(5/3/1)
- Week4:デロード(40〜60%で軽めに動く)
いずれの週も、最後のセット(3セット目)はAMRAP(限界までの反復)で行う。
これにより「負荷は控えめでも、強度は担保できる」構造になっている。
TM(トレーニングMAX)とは?
このプログラムの基準となるのが「トレーニングMAX(TM)」という考え方。
実際のMAX(1RM)ではなく、その90%を基準にすべての計算を行う。
例:1RMが100kg → TM=90kg
Week1の85%セットは「90kgの85%=76.5kg」で実施する。
こうすることで、毎週無理な負荷を避け、疲労をコントロールしながら継続できる。
補助種目との組み合わせ例
5/3/1法のメインセットは短時間で終わるため、補助種目の選び方で目的を調整できる。
- BBB(Boring But Big):同じ種目で5×10(50〜60%程度)
- FSL(First Set Last):1セット目の重量で数セット反復
- Triumvirate:補助2種目に絞って集中型にする
目的が筋肥大か、フォーム強化か、コンディショニングかによって組み合わせを変える。
TMの更新タイミングと進め方
1サイクル(4週)が終わるごとに、TMを少しずつ引き上げていく。
- スクワット/デッドリフト:+5kg
- ベンチ/オーバーヘッドプレス:+2.5kg
このわずかな加重が、長期的には大きな差を生む。
毎月「少しだけ強くなる」設計が、5/3/1法の根幹にある。
パワーリフティング的な応用:週2回進行
5/3/1法はもともと週1回/種目の頻度設計だが、パワーリフティング的にはかなり少ない。
そのため、次のような応用パターンが有効になる。
- 週2回進行(例:スクワットを月・金で同じ週に2回)
- 1回目:通常の5/3/1、2回目:BBBやFSLでフォーム反復とボリューム確保
- 全種目を週2回で組み、頻度と精度を両立させる
高頻度で扱うことで、フォーム安定・出力維持・スキル向上につながる。
※私は531を週2回(セッションごとに進行)+補助をBBBもしくはポーズなどの補助種目として進行を管理しています。
この場合は疲労管理もしやすく進捗も早いので成長も感じやすいです(1.5週で1サイクル)
ディロード週の位置づけ
Week4のディロードは、完全休養ではなく「軽く動く」週。
50〜60%の重量でセット数も減らし、フォーム確認やモビリティを兼ねて行う。
ただし、疲労感が少ない場合はディロードを省略して次のサイクルに進むことも可能。
逆に疲労が抜けきらない場合は、1〜2週間スライドさせて調整してもよい。
私は531をやる際はほとんどディロードは入れていません。そもそもがTM90%設定ですので疲労がたまりにくいと感じるからです。
とはいえ、刺激に慣れてしまうのもあるので疲労がなくても6~8週に一度はディロードを入れるのをお勧めします。
まとめ:無理せず強くなる“型”としての5/3/1
- シンプルな構成 × TM設計 × 小さな進歩
- 成長しながら疲労を抑える、実用性の高いモデル
- 初心者〜中上級者まで段階的に適応可能
- 頻度や補助種目で競技仕様にも応用できる
短期的な爆発力より、長期的な積み上げ。
5/3/1法は、それを体現するベーシックな“型”である。
私もベンチプレス100㎏を達成したときは531をメインで進めていたのでシンプルかつ確実に伸びるいいプログラムだと思います。
また、531はアレンジが無限にあるのでベースに何を組み合わせてもいい拡張性の高さもこのプログラムの良さだと思います。
上手にプログラムを利用して停滞しないトレーニングをしていきましょう!
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