結論:ピリオダイゼーションは“伸びを止めないための計画術”
筋トレをしていると、「伸び悩み」という壁にぶつかる瞬間が必ず訪れます。
そんな時、感覚や根性だけに頼るのではなく、計画的に強度や回数を変えていく方法が「ピリオダイゼーション(Periodization)」です。
特に「線形」と「非線形」という2つの代表的なやり方を知ることで、自分に合った進め方を見つけやすくなります。
ピリオダイゼーションとは?
ピリオダイゼーションとは、トレーニング強度(重さ)やボリューム(回数・セット数)を意図的に変化させていく方法論です。
目的は以下の2つ:
- 適応の停滞を防ぎ、継続的に成長すること
- 疲労を調整しながら、計画的にピークを作ること
これは筋トレに限らず、あらゆる競技分野でも採用されている基本戦略です。
線形ピリオダイゼーション(Linear Periodization)
特徴:
- 週ごとに徐々に強度を上げ、回数を減らす
- 初心者〜中級者に最適。迷いなく進められる。
例(4週間):
週 | 回数 | 強度(%1RM) |
---|---|---|
Week1 | 10回 | 70% |
Week2 | 8回 | 75% |
Week3 | 6回 | 80% |
Week4 | 3〜5回 | 85〜90%(ピーク) |
▼ 線形にも“3タイプ”ある
進行パターンに応じて、線形ピリオダイゼーションは以下の3タイプに分類できます:
1. 重量漸進型(強度型)
- 重量を上げて、回数を減らす
- 出力強化やピーク作りに有効
2. ボリューム漸進型(反復型)
- 重量は一定、回数・セット数を増やす
- 筋肥大・フォーム強化に最適
- 例:80%で8×3 → 8×4 → 8×5
3. ハイブリッド型
- 重量もボリュームも同時に上げていく
- 刺激は大きいが、疲労も溜まりやすい
非線形ピリオダイゼーション(Undulating Periodization)
特徴:
- 日単位または週単位で回数・強度を変化させる
- 常に刺激を変えることで適応の停滞を防ぐ
例(週3回構成):
曜日 | 回数 | 強度 | 目的 |
---|---|---|---|
月曜 | 10回 | 70% | 筋肥大・パンプ |
水曜 | 6回 | 80% | 中重量調整 |
金曜 | 3回 | 90% | 出力・ピーク |
使い分けのポイント
項目 | 線形 | 非線形 |
---|---|---|
向いている人 | 初〜中級者 | 中級〜上級者 |
管理のしやすさ | ◎ | △(記録・判断力が必要) |
停滞対策 | △ | ◎ |
疲労管理 | しやすい | こまめな調整が必要 |
実例で見てみよう:線形→非線形→再構築
たとえば:
- 線形期(10/8/6のようなボリューム漸進)で出力やフォームのベースを作る
- 成長や再現性が高まってきたら、週3構成で8RM→5RM→3RMの非線形波状刺激に切り替える
- 数週継続後、ディロードや再スタートで新サイクルを構築する
このように「段階的に疲労と出力をマネジメントしながら切り替える」のがピリオダイゼーションの本質です。
どれくらいの期間で切り替えるべきか?
▼ 線形ピリオダイゼーションの期間
フェーズ | 期間の目安 | 備考 |
---|---|---|
1サイクル | 6〜8週間 | 回数→強度への移行でピーク形成 |
切り替えタイミング | 出力停滞・再現性低下・疲労蓄積 | サイクル後に非線形 or ディロードへ移行 |
▼ 非線形の継続目安
- 4〜6週間の中期運用が目安
- 刺激に慣れてきたら強度を引き上げたり、RPEやRMで強度設定をリフレッシュ
- 長期化する場合は途中に軽め週やディロードを挟むのがベター
実際の運用例:筆者の場合はこう使っている
私は基本的に6〜8週を1サイクルの目安として運用しています。
プログラム運用することが多いですが、疲労や線形、非線形プログラムによっては
疲労感や再現性の低下が見えた時点で、延長してからディロードしてそのあとやっていない方のプログラムに切り替えます。(線形プログラムなら非線形へ、非線形なら線形へ切り替え)
また必要に応じて再び線形に戻すことで、成長と回復のサイクルを繰り返しています。
まとめ:ピリオダイゼーションは“成長の波を設計する技術”
- 成長は「負荷」と「回復」のバランスで決まる
- 線形でベースを固め、非線形で刺激を変えて、定期的にリセットを挟む
- 自分のコンディションに応じて期間を柔軟に調整することが鍵
トレーニングの成果は、計画性とタイミングで大きく変わります。
あなたのトレーニングも、今日から“波”を意識してみましょう。
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